戦略的な会計と、決算の会計は違う
戦略的な会計は、決算のような対外的な会計とは異なります。
考え方も違います。
その例がコストの考え方。
決算などの考え方をベースとした会計では、利益を出すためにはコストを削減しろといいます。
固定費を削減しましょう、変動費を削減しましょう、と。
しかし、戦略的な会計では、コストを上げることで、利益を出すという考え方もアリです。
固定費の戦略
たとえば、固定費。
固定費は、利益を生み出すための道具としての意味合いがあります。
機械装置とかを使ってモノを加工したりしますよね。
機械装置があることで、加工ができるわけです。
高価で高性能な機械を持つことで、生産能力が向上します。
その結果として、良いものをたくさん早く作れれば、収益も上がります。
ただし、コスト(固定費)も上昇します。
このあたりバランスや会社の方向性を見据え、機械装置を入れるかどうか、入れるならどのようなものをいつ入れるか、といったことを考え、実行していくことが戦略になっていきます。
ここ数年行われている「ものづくり補助金」のような補助金は、中小企業に機械装置を導入させて生産能力を高めようといった趣旨があります。
変動費の戦略
変動費は、例えば原材料です。
原材料を安く買えれば変動費が下がり、利益が向上します(短期的には)。
しかし、安くて、粗悪な原材料を仕入れていたらどうでしょうか?
その原材料を用いて生産する製品も、粗悪なものになるかもしれません。
そうすると、短期的には利益が出たとしても、長期的には顧客が離れていったりして利益が出なくなるかもしれません。
逆に、高くとも質の良い原材料を仕入れて製品を作れば、短期的には変動費の増大により利益が圧迫されるかもしれませんが、長期的には、製品の品質の評判を聞きつけた優良顧客を多数獲得して利益が向上するかもしれません。
変動費も、固定費と同じように会社の方向性、戦略として考えていかなければなりません。
コストは必ずしも削減するものではない
このように、戦略的な考え方をするならばコストは必ずしも削減すればよいというものではありません。
会社の方向性を見据え、戦略的に決めていく必要があります。