以下のような記事が4月10日の時点で出てました。
「A案は藍色一色のみを使用したデザインで、カラフルな他作品とは趣を異にしている。最終選考の際、カラフルなデザインが好きな国民の意見がB~Dの3案で割れ、最終的にA案を利する結果になる可能性がある」(デザイン業界事情通)
この記事を先日読んだ際には意味がわからなかったのですが、当ブログの記事「コンセプトの明確化」を書いていて理解できました。
東京オリンピックのエンブレムの選考過程で、下の図の4つに絞られました。

この中で、A案だけ異質です。
そのことを記事では言っています。
ただこれだけでは、デザインの素人である私には「ふーん、で?」というところでした。
当ブログの先日の記事「コンセプトの明確化」で、下のような図を紹介して記事を書きました。
記事を書くなかで、ようやく意味がわかりました。
上の図を見て、どうでしょうか?
あなたならどれを選びますか?
1個、明らかに目立つのがありますよね。
これが商品だったとしたら、その目立つやつを取ってみたいと思いませんか?
選択をするのは、トンガリのあるやつVSその他大勢、という構図にならないでしょうか?
もしあなたの商品にトンガリがなければ、この「その他大勢」の中に埋もれてしまいます。
トンガリがあることは、その他大勢に埋もれず、選択肢として浮かび上がる大きな特徴となります。
東京オリンピックのエンブレム選考過程で絞られた4つの案でも、同じことが言えると思います。
A案のみ異質です(A案は色がモノトーンな感じ。B~D案はカラフル)。
であるとすれば、4つに絞られた段階で「A案」vs「B~D案」の構図になっていたとも言えます。
この時点で、わかる人にはわかる、わからない人にはわからない、そんな仕込みがあったのかもしれません(実際のところどうだったかはわかりません)。
トンガリの選択プロセス
審査員の心の中の選択肢が、「A案」vs「B~D案」になったとします。
審査員が21人だったそうです。
ここで仮に、審査員の1/3の7人がA案を選び、残り2/3の14人が「B~D案」を選んだとします。
A案を選んだ人は、A案に投票します。
「B~D案」を選んだ人は、さらにB案、C案、D案の中から選択をします。
14人を3つの案に均等に割ることはできないので、仮にこの5人、5人、4人に割れたとしましょう。
すると、結果的に、
- A案: 7人
- B案: 5人
- C案: 5人
- D案: 4人
となり、A案が選ばれます。
3つの案のうち、どれか一つが少し魅力的だったとしましょう。
とはいえ、半数の人が選ぶほど目立ったものはないので、14人中7人が選ぶことはないでしょう。
したがって、多くても6人、ではないでしょうか?
そこで、14人が、6人、4人、4人に割れたとしましょう。
その場合、
- A案: 7人
- B案: 6人
- C案: 4人
- D案: 4人
となります。
そのようなことがあったかどうかはさておき、結果的にエンブレムはA案に決まりました。
A案よりも招致エンブレムがよかったという声も
ところで、A案に決定した後、「A案にするんだったら、招致エンブレムの方がよかった」といった意見もネット上に上がってました。
確かにこうしてみると、招致エンブレムもいいですね(少なくとも私は招致エンブレムの方がワクワクします)。
デザインの形状は円形という点で似ています。
A案と招致エンブレムの二者択一であれば、招致エンブレムの方が選ばれるかもしれません。
さて、ここで私が気になること、それは、
もし、最終選考が招致エンブレムを混ぜた5案だったら?
どうなっていたか、ということ。

ひょっとしたら、「A案」vs「B~D案」という構図は崩れ、違った結果になったかもしれません。
なお、招致エンブレムが候補から外れたのには、大人の事情があったようです(参考:評判いいのに…期待高まる招致ロゴ、なぜ使えない?)。