経営を考える際、損益計算書を用いると判断を誤りやすいと思っています(適切な用い方であれば問題ありませんが)。
なぜかというと、「損益計算書」という紙の面積の多くが「コスト」に割かれているからです。
逆に「売上」に関わる部分の面積は小さいです(通常、1行です)。
損益計算書の面積の多くはコストの表示に割かれている

上の図は、典型的な損益計算書の例です。
売上は1行で、そこから様々な経費を引いて損益を計算しています。
損益計算書に占める売上に関する部分の面積は非常に少ないのです。
人間は、視覚から入る情報で、面積の大きい部分に惑われやすいものです。
更に言えば、決算書には損益計算書に付随して売上原価明細、販売費及び一般管理費内訳などがご丁寧に添えられていて、コストの詳細についてはとても詳しく書かれています。
こうしたことが、損益計算書を見る人の注意がコストに向けさせられます。
その結果、どういうことが起きるか。
損益計算書は間違った判断へと誘導する
「利益を出すには、コストを削減せよ!」
という対策が出がちになるのです。
しかしながら、売上高、さらに正確に言うならば粗利の増大なくしてコストを削減をしたとしても、利益額の向上には限界があります。
利益を伸ばすには、コストが多少増えたとしてもそれ以上に売上高を伸ばす策を考えるというのも一つの手かもしれません。

実際は売上よりも粗利が大切
ちなみに、売上を上げても、それ以上にコストが上がれば利益は減少することになります。
売上は、価格×数量です。
価格を下げれば、たくさん売れて数量が増えますが、価格を下げたことにより原価率が上がります(粗利が減ります)。
その結果、原価率や数量のバランスによっては、売上高が上がったとしても粗利が減るので注意が必要です。
粗利が増えなければ利益の向上は望めません。
価格の設定は大事です
価格の設定は利益に対して非常に大きな影響をもたらします。
コストである変動費、固定費などよりも必ず大きな影響があります。
これは数学的に明らかなことです。
価格の設定の重要さをしっかりと認識して、適切な価格設定を行うようにしましょう。