儲かったかどうかは決算書ではわからない!

こんにちは!

社長のビジョン実現のパートナー、中小企業の社外CFOの佐野敏幸(@snmcjp)です!

今回は、決算書と儲けの関係についてです。

経営をしていると、今期は儲かったのかどうか、気になります。

そして、決算書の数字を見て、一喜一憂します。

しかし、実は決算書は儲けの実態を表しません。

決算書では、儲かったかどうかわからない

決算書では会社が儲かってるかどうかがわからないという問題があります。

たとえば、こんな状況を想定してみてください。

  • あなたは製造業を経営しています。
  • 今期は100円の材料を100個買ってきて全て加工しました。
  • 加工は1個につき20円です(人件費など。変動費。)。
  • なお、工場や機械の減価償却費で、毎期7,000円が固定的にかかります(固定費)。
  • 加工してできた製品100個のうち、80個は200円で販売できました。
  • 残った20個の製品は在庫にしてあり、次期に売るつもりです。

さて、このような状況のときは儲かっているのでしょうか?それとも儲かってないのでしょうか?

決算書の計算のやり方(全部原価計算)をやってみる

このような状況で決算書の利益を計算してみます。

決算書の計算では、固定費が製品に割り振られることに特徴があります

決算書の計算は以下のようになります(難しい言葉で「全部原価計算」と言います)。

  • 1個100円の材料は加工により1個120円の製品になります。
  • 固定費の7,000円は、製品100個に均等に割り振ります。1個あたり70円を割り振ることになります。
  • その結果、製品の原価は1個当たり190円になります。
  • これを200円で80個売ったので・・・
  • 800円の利益が出ました。 (/^ー^)/”””パチパチ

決算書の計算の仕方では、このように800円の利益が出たという計算になります。

なお、税務申告の場合であれば「利益が出た」とみなされます

この800円の中から税金を支払うことになります。

果たして、これで本当にいいんでしょうか?

「決算書で利益が出た」=「儲かった」ということなんでしょうか?

直接原価計算でやってみる

これに対して決算書とは別の方法、「直接原価計算」で計算をしてみましょう。

以下のようになります。

  • 1個100円の材料は加工により1個120円の製品になります。
  • これを200円で80個売ったので、6,400円の粗利がでました。
  • ここから固定費の7,000円を差し引くと・・・
  • ▲600円(赤字)です。   orz

あらら、決算書では黒字だったのに、こっちの計算では赤字になってしまいました!

同じ数字を用いても計算方法で結果は異なる

このように、全く同じ数字を用いても、決算書の計算方法(全部原価計算)と直接原価計算では結果が異なります。

上の例のように、決算書(全部原価計算)では黒字なのに、直接原価計算は赤字、ということがありえます

いったい、どういうことでしょうか?

違いの原因は固定費の扱い

決算書の計算(全部原価計算)の場合と直接原価計算の場合では、違った結果となりました。

その原因は、「固定費の扱い」にあります。

決算書の計算では、今期に発生した固定費を製品の原価に含めます。

そのため、決算書の計算では、今期に発生したハズの固定費を在庫の状態で次期に先送りすることができてしまうのです。

そのため、不思議なことがおきます。

モノは売れなくても、どんどん製品を作って倉庫に入れてしまえば決算書の利益が増えるのです。

売れなくても作れば作るほど利益が増えます

これって、変じゃないですか?

売れなくても、モノを作ってしまえば利益が増える・・・そんな状況は、たとえ利益が出ていたとしても、儲かっているとは言えません

儲かっているかどうかは、直接利益計算の数値で判断するのが適切です

そして、先程の例の企業の場合、利益は出たが儲からなかった、ということになります。

儲けの判断は直接原価計算で

決算書の数値に出てくる利益は、儲かっているかどうかを表していません。

自社が本当に儲かっているのかどうかは、直接原価計算で判断をしましょう。

まとめ

 同じ数値を用いても、決算書の計算方法(全部原価計算)と直接原価計算では結果が異なります。

その原因は、決算書の計算では今期発生したはずの費用を次期に先送りしてしまうためでした。

本当に儲かっているかどうかは、決算書ではわかりません。

儲かっているかどうかの判断は、直接原価計算で行いましょう。

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