サイズを変えることで新しい顧客を獲得できることがある
買い物のときに「こんなにいらない。少しだけだったら買いたいんだけど・・・」といったことが時々ありませんか?
私は、あります。
例えば、スーパーの魚コーナー。
私の近所のスーパーでは、よく3匹で1パックの魚が売られています。
「1匹だったら買うんだけど・・・」なんてことがあります。
鮮度の低下の早い魚ならなおのこと、自分が必要とする分だけを買いたいと思います。
そんな感じで、商品のサイズを小さくすることで、今まで購入をためらっていたお客さんが購入をするようになる、なんてことがあります。
小さくした例
こうした例は、あらゆる商品でありえます。
例えば、スーパーのお惣菜とかでもそうですね。
1人分のお惣菜だから買うという人も結構いることでしょう。
タミヤの半分だけ作る「模型」
最近では、タミヤが半完成の模型を販売しています。

あらかじめ途中まで作った状態で売られています。
近年、消費者がスマートホンに時間をとられるため、じっくりとイチから作る模型には取り組みにくくなっています(当然、売れにくい・・・)。
そこで、半完成の状態の商品として販売し、半分の労力で模型を組み立てられる、そんな商品として販売をしています。
初心者でも気軽に楽しめることから、新顧客層の開拓にも一役買います。
シャンプーなし!顔そりなし!トイレもなし!散髪だけの理容
とにかく散髪だけに特化した理容店もありますね。
私の近所だとサンキューカットというチェーンのお店があります。

ホームページを見ると、
カットショップのサンキューカットではシャンプーや顔剃りを省き、カットのみを約10分で行います。
とあります。
このように、商品ではなくサービスを小さくするというのも一つのテですね。
実は「新市場開拓戦略」だ
さて、そんな「小さくしてみる」戦略ですが、実は経営理論でいうところのアンゾフの成長ベクトルの「新市場開拓戦略」に相当します。
アンゾフの成長ベクトル
アンゾフの成長ベクトルは、市場と製品をそれぞれ次のように分類します。
- 市場を既存市場と新規市場
- 製品を既存製品と新製品
そのうえで、下の図のようなマトリックスで方向性を考えるものです。

そして、「小さくしてみる」のは、新製品開発戦略に該当します。
今まで売っていた製品をちょっとだけにして売ることで、今まで振り向いてくれなかった顧客を獲得する手法だからです。
ちなみに、このようなマトリクスで考えるのは、検討モレを防ぐためでもあります。
新製品開発戦略を考えていますが、「新市場開拓戦略を検討し忘れてないか?」「新市場開拓戦略で良い案はないだろうか?」といった検討もします。
アイデア発想法
さて、今回とりあげた「小さくしてみる」ワザは、アイデア発想法からも出てきます。
そのようなアイデア発想法の一つとしてオズボーン法があります。
オズボーン法
オズボーン法では、アイデアを考えるためのヒント集として以下のチェックリストを活用します。
オズボーンのチェックリスト(ヒント集)
他の使い道はないか?
そのままで他に使い道はないか?/改造して他の使い道はないか?
応用してみたら?
他に似たものはないか?/他のアイディアを示唆していないか?/過去に似たものはないか?/何かマネできないか?/誰かをマネできないか?
変えてみたら?
ひねったら?/意味・色・動き・音・匂い・様式・形状などを変えたら?/他の形にしたら?
大きくしてみたら?
何か加えたら?/時間を長くしたら?/頻度を増やしたら?/強くしたら?/高くしたら?/長くしたら?/付加価値をつけたら?/他の成分を加えたら?/倍にしたら?/多くしたら?/誇張したら?
小さくしてみたら?
何か減らしたら?/もっと小さくしたら?/濃縮したら?/ミニチュアにしたら?/低くしたら?/短くしたら?/軽くしたら?/省いたら?/能率化したら?/分割したら?/控えめに言ったら?
代用してみたら?
他の人にしたら?/他の物にしたら?/他の成分にしたら?/他の製法にしたら?/他の場所にしたら?/他のアプローチをしたら?/他の口調にしたら?
アレンジしなおしたら?
構成要素を取り換えてみたら?/他のパターンは?/他のレイアウトは?/他の順番は?/原因と結果を入れ替えたら?/ペースを変えたら?/スケジュールを変えたら?
逆にしてみたら?
ポジティブとネガティブを入れ替えたら?/反対にしたら?/後ろ向きにしたら?/上下をひっくり返したら?/役割を逆にしたら?/立場を変えたら?/位置を変えたら?/左右を変えたら?
組み合わせてみたら?
ブレンド、合金、組み合わせ、アンサンブルにしたら?/ユニットを組み合わせたら?/目的を組み合わせたら?/魅力を組み合わせたら?/アイディアを組み合わせたら?
チェックリストの中に「小さくしてみたら?」というのがありますね。
これが、今回の記事のテーマになっています。
既存製品でサイズを変えて何かできないか考えてみよう
「小さくする」以外に、「大きくする」というのもあります。
このように、サイズを変えて新しく何かできないか、考えてみるのも一つのテです。
商品やサービスのサイズを変えてみることで、これまで振り向いてくれなかった顧客が、あなたの新しい顧客になるかもしれません。