こんにちは!
社長のビジョン実現のパートナー、中小企業の社外CFOの佐野敏幸(@snmcjp)です!
今回は、ビジネスモデル・キャンバスについてです。
ビジネスモデル・キャンバスと事業ドメイン/コンセプト
ビジネスモデル・キャンバスというフレームワークが近年話題となっています。
ビジネスモデル・キャンバスは、「ビジネスモデル・ジェネレーション」という書籍で紹介されています。
<書籍「ビジネスモデル・ジェネレーション」>

ビジネスモデル・キャンバスは、事業ドメインやコンセプトを考えるときに「誰に、何を、どのように」という枠組みを、ある意味、深化・具体化させたものだと私は捉えています。
今回は、そんなビジネスモデル・キャンバスと「誰に、何を、どのように」についてのお話です。
古典的な「誰に、何を、どのように」
経営理論で、事業ドメインや、コンセプトを考える際には、通常以下の3つの観点を使います。
- 誰に
- 何を
- どのように
誰をターゲット顧客とするのか、そして彼らに対してどのような商品やサービスを提供するのか、そしてそれをどのようにして提供するのか。
これらを明確化していくことが、事業ドメインの構築、コンセプト明確化にほかなりません。
そして、この「誰に、何を、どのように」という考え方は、いわば古典的な、広く普及している考え方です。
ビジネスモデル・キャンバス
近年、ビジネスモデル・キャンバスというフレームワークが考案されました。
ビジネスモデル・キャンバスは、いわゆるビジネスモデルを、下の図のようなシートに落としこんで表現するものです。

このビジネスモデル・キャンバスを用いることで、どんなビジネスモデルでもたった一枚のシートで表現することができます。
一枚のシートで全て表現できるため、ビジネスモデルの全体像を俯瞰的に捉えることができます。
その結果、ビジネスモデルがどのようなものなのか伝達・共有が容易になります。
さらに、ビジネスモデルの内容の把握・伝達・共有が容易になると、どうなるか?
それは、ビジネスモデルの議論が容易になる、新しいアイデアを発想しやすくなる、ビジネスモデルの管理が容易になる、ということでもあります。
ビジネスモデル・キャンバスの構成
ビジネスモデル・キャンバスは、一枚のシートの中に9つのマスがあります。
ビジネスモデル・キャンバスの右半分は、顧客に対してどのようにして価値を届けるのか、を表します。
左半分は、提供しようとする価値をどのようにして生み出すのか、を表します。

また、ビジネスモデル・キャンバスの下段は、お金の流れを表します。
それぞれのマスについて、見ていきましょう。
CS(Customer Segments 顧客セグメント)

いわゆる顧客セグメントです。
ビジネスモデルでターゲットとする顧客層を書きこみます。
顧客セグメントを書く前提として、ターゲットが絞り込めている必要があります。
絞り込んだ顧客だからこそ、自社の提供する価値が受け入れられます。
VP(Value Propositions 価値提案)

ビジネスモデル・キャンバスの中心は、バリュー・プロポジション、「価値提案」です。
顧客に対してどんな価値を提供するのかを書き込みます。
例えば、飲食店の場合であれば「ゆっくりとくつろいで食べられる」「すぐに食べられる」「接待で楽しんでもらえる」「デートでふたりきりで食事できる」などといった価値がいろいろと考えられます。
CH(Channels チャネル)

顧客セグメントとどのようにしてコミュニケーションをし、価値を届けるのかを書きます。
認知、評価、購入、提供、アフターサービスの5つの観点で考えられます。
- 認知・・・いかにして認知度を上げるか
- 評価・・・いかにして価値を顧客にひょうかしてもらうか
- 購入・・・いかにして購入できるようにするか
- 提供・・・いかにして、顧客に価値を提供するか
- アフターサービス・・・いかにして、アフターサービスを提供するか
CR(Customer Relationships 顧客との関係)

顧客セグメントとどのような関係を結ぶのかを書きます。
例えば、「対面型」なのか「ネット経由」なのか「電話」なのか、「1対1」なのか「1対多」なのか、といったことです。
R$(Revenue Streams 収益の流れ)

ここは、収益の流れを表します。
収益の流れは、お金を顧客が支払うケースもあれば、広告主が支払うケースや、補助金で支払われるケースなど、様々なパターンが考えられます。
KR(Key Resources 資源)
顧客セグメントに対して価値を提供するために活用する資産を書きこみます。
「これがあるから当社はお客さまに価値を提供できるんだ!」と言える、いわば「強み」です。
飲食店だと、たとえば、
- 早く食事を提供できる「厨房システム」
- 最高においしい料理を提供できる「調理技術」や「調理器具」、「鮮度を維持する冷蔵設備」
- くつろいだ雰囲気を提供できる「接客技術」、「落ち着いたデザインの店舗」
などといったことです。
KA(Key Activities 主要な活動)

顧客セグメントに対して価値を提供するための重要な活動を書きます。
例によって飲食店であれば、
- すぐに食事をお出しするための「準備」「訓練」
- くつろいで食事をしてもらうための「掃除」「雰囲気づくり」
- 美味しい料理を出すための「仕込み」「鮮度管理」
といったことです。
KP(Key Partners キーパートナー)

価値を提供するために重要なパートナー(協力企業など)を書きます。
飲食店であれば、食材の仕入れ先、掃除業者、おしぼりの業者、厨房機器の管理業者といったパートナーです。
C$(Cost Structure コスト構造)

顧客に価値を提供するためにかかるコストを書きます。
全てのコストを書き出すとキリがないので、特に重要なコストの限定して書きこむと良いでしょう。
ビジネスモデル・キャンバスと「誰に、何を、どのように」の関係
ビジネスモデル・キャンバスの各要素は、「誰に、何を、どのように」に対応していると、私は捉えています。
誰に・・・CS

何を・・・VP

どのように・・・CR CH KR KA KP C$ R$

ビジネスモデル・キャンバスでビジネスを掘り下げる
このように、ビジネスモデル・キャンバスを用いて思考をすることで、事業ドメインやコンセプトの「誰に、何を、どのように」を、より深く具体的に掘り下げることができます。
まとめ
ビジネスモデル・キャンバスは、ビジネスモデルを一枚のシートで全体像を明るみにし、俯瞰的に捉えられるツールであると同時に、「誰に、何を、どのように」という事業ドメインやコンセプトをより深く具体的に思考することができるツールです。
まずは、自社のビジネスモデルをこのビジネスモデル・キャンバスに書き出してみるところから始めてみましょう。