こんにちは!
社長のビジョン実現のパートナー、中小企業の社外CFOの佐野敏幸(@snmcjp)です!
今回は、コストの考え方について。
同じことが発生しても、状況によってコストは違うというお話です。
コストの考え方は状況によって変化する
例えば、こんな状況を考えてみましょう
お団子屋さんAとBがあります。
どちらのお団子やさんも、お団子1個を作るのに、材料やら作業やらで、20円かかります。
お団子の売値は100円です。
お団子屋さんAは、大繁盛!
行列が途切れることはありません。
毎日、お団子がなくなったところでお店を閉めてます。
それに対して、お団子屋さんBは、あまり流行っていません。
しかし、店頭にはいつもお団子を陳列してます。
閉店時にはいつもお団子が残ってしまいます。
残ったお団子は廃棄処分です。
さて、そんなお団子屋さんでのこと・・・

店員さんがお団子を床に落としてしまったようです。
さて、このとき、お団子屋さんAとBでのコスト(損失)はいくらでしょうか?
なお、どちらのお店でも、お団子1個を作るのに20円かかってますので、20円のコストで良いでしょうか?
実は、状況によって、コストが変わってきます。
お団子屋さんAの場合のコスト
お団子屋さんAは大繁盛で、毎日作ったものが全部売り切れてしまいます。
仮に毎日100個を作って売っているとしましょう。
そうすると、
売上 100円×100個=10,000円
原価 20円×100個=2,000円
で、
粗利 10,000円-2,000円=8,000円
です。ここで、100個のうちの1個を床に落とした場合を考えます。すると、
売上 100円×99個=9,900円
原価 20円×100個=2,000円
です。原価が100個分なのは、落としたお団子をつくるのにも費用がかかっていたからですね。
その結果、
粗利 9,900円ー2,000円=7,900円
となります。
お団子を床に落とさなければ粗利が8,000円だったのに、落としてしまったために7,900円になってしまいました。
つまり、A店でお団子を落としたコストは100円だったことになります。
お団子屋さんBの場合のコスト
では、お団子屋さんBの場合はどうでしょうか?
お団子屋さんBはお団子屋さんBとは違い、それほど流行っておらず、毎日売り残りが発生します。
売れ残ったお団子は、廃棄処分しています。
さて、話を簡単にするため、お団子屋さんBでは毎日100個のお団子を作り、90個が売れて、10個廃棄処分しているということにしましょう。
そうすると、
売上 100円×90個=9,000円
原価 20円×100個=2,000円
です。原価は、材料代や製造作業にかかるお金です。100個は生産してますので、100個分の原価がかかりますね。そして、
粗利 9,000円-2,000円=7,000円
です。さて、ここで、お団子1個を落とした場合、どうなるでしょうか?
この場合、その日店頭に出すお団子の数は99個になります。
しかし、お客さんがお店にくれば、お団子が陳列されている状態ですので、ちゃんと売れます。
いつも通り90個売れます。そうすると、
売上 100円×90個=9,000円
原価 20円×100個=2,000円
で、
粗利 9,000円-2,000円=7,000円
となります。
お団子1個を床に落としても落とさなくても、その日の粗利は変わりません。
つまり、A店の場合と違い、B店の場合は床に1個落としたとしても実はコストは発生しない、といえます。
なぜなら、B店では毎日売れ残るので、落としたお団子は「売れ残る予定だったお団子」とみなせば、ある意味いつも通り、通常運転だからです。
コストの考え方と意思決定
このように、お店の状況によって、お団子1個を床に落としてしまうという同じことが起きたとしても、その時に発生するコストは同じとは限りません。
このようなコストの発生の仕方が違うとすれば、そのお店でやるべきことも異なります。
A店では、お団子1個を床に落とすとコストが発生することから、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底やカイゼンに注力をして、床に落とさない仕組みつくりを目指すのがよいかもしれません。
また、B店では、そういった内部的な取組よりは、もっと売れる仕組みつくり、マーケティングに取り組むべきかもしれません。
まとめ
同じことが起きたとしても、企業の状況によってコストの発生の仕方が違う場合があります。
状況に応じて、打つべき手も変わってくるかもしれません。
追記:
本記事の画像は以下のサイトより拝借しました。
お団子 http://illust-imt.jp/archives/001787/
店員 http://illust-imt.jp/archives/009089/
このようなイラストを無料で世界に向けて提供してくださっているイラストレーターさん達には頭が下がります m(_ _)m